認知行動療法では認知の歪みにクローズアップした療法を行います。

ここで、認知の歪みに関して解説します。

デビッド・D・バーンズは10の認知の歪みを提唱しています。
  1. 全か無かの思考 
  2. ~すべき思考 
  3. 行き過ぎた一般化 
  4. 心のフィルター 
  5. マイナス思考 
  6. 論理の飛躍 
  7. 拡大解釈、過小解釈 
  8. 感情の理由づけ 
  9. レッテル貼り 
  10. 誤った自己責任化(個人化)

皆さんは自分で当てはまるものがあるでしょうか?もしあれば認知の歪みを抱えていると言う事になります。

まず、最初に言っておきたいのが、認知の歪みが悪いものではないということです。

歪みといってしまうと、言葉の印象で悪いもののように聞こえてしまいますが、そうではありません。

認知の歪みが自分や周りの人間に悪い結果を起こしているときに問題の原因とされるだけです。


認知の歪みとは、 例えば、今「歪み」と聞いて悪いものだと感じたでしょうか?

歪み=悪いと感じた人は認知の歪みを持っているといえます。

今までの経験で、歪みというものが悪いもののカテゴリーに入ると判断して、認知の歪み=悪いもの、という判断を一瞬でしています。

例えば「あなたは認知の歪みがあります!」といわれたときに、「歪み」を悪いものだと解釈している人は、気分が落ち込むでしょう。

歪みという言葉に悪い印象を持っていない人は、認知の歪みとはなんだろうという疑問だけになるでしょう。

これが、人それぞれ持っている認知の歪みで、経験によって身に着いた判断の基準ともいえます。

これが、極端にマイナスに働いたときには問題の原因になります。


認知行動療法では、まず自分の認知の歪みに気付くことから始めます。

これは、自分の感情が出てくるときに頭の中で行われる判断のクセを知ることでもあります。

判断のクセは無意識で行われているために普段は考えていません。これを修正するにはひも解く作業が必要なんです。


また、認知の歪みを知る方法としては、感情からさかのぼって考えるという作業を行います。

「あなたは認知の歪みがあります!」
 ↓
 落ち込む(感情)

となったときに、なぜその感情が出てきたのかをひも解いていきます。

なぜ、落ち込んだかというと、歪み=悪いという考えを持っているので、「自分の考え方は間違っている」といわれているような気がしているからです。

では、落ち込んでいる原因は、歪み=悪いという認知の歪みがあるからです。

そこで、歪み=悪いを修正していきます。

確かに歪みという言葉は悪い事を表現する事に多く使われます。

ですが、表現対象が悪いものであって、歪みという言葉自体には悪意は無いのではないでしょうか。

歪み とは、本来ある形ではない状態になっていることや、曲がっている事を表現します。

それが、非物体的なものに対して使われる時は悪い意味でも使われます。

では、ここで言う認知の歪みとは具体的になにを指しているのでしょうか。

例えば白黒主義のようなクセは、確かに悪い部分もありますが、時にはプラスに働くこともあります。

白黒主義の人は判断が早く、行動に移すことが素早くできるという利点があるかもしれません。

と言う事は認知の歪みは全て悪いという訳ではなさそうです。

これが歪み=悪いを覆す考えです。

認知行動療法では、日常の様々な事例から、このような深い思考を行っていくことで認知の歪みを修正していきます。