心を軽くする方法~認知行動療法のblog

心理学で心を軽くする方法。心理学で心をひも解き、相手も自分も理解しあう事が出来る。【心理研究家】佐屋鉄心

機能不全家族

毒親という呪縛

先日、毒親に関してのテレビ番組を拝見したので、少し書いてみようと思います。
世界昇天ニュースと言う番組でした。

毒親

まず、毒親とは子供の毒(悪影響)となる親の事で、タイプにも様々なものがあります。
子供を無下に傷つける親、過保護の親、自己投影をしてくる親などがあります。
テレビでやっていたのは自己投影タイプで、完璧主義の母親と娘の話しでした。
完璧主義の母親は、娘に作ったご飯を時間通りに食べられなくなっただけで怒りのスイッチが入り、誰にも止められなかったそうです。
娘はそうならない様に母親の顔色を伺って生活をします。
結果的に母親の操り人形のようになってしまい、意見を言う事もなくなったそうです。
相談所にも行ったそうですが「母親と話しをして見てください」という方法を勧められました。
ですが、それが出来ていれば最初から毒親になっていないですね。
自己投影をしてくる親に対しては、いつかどこかで子供の意思を表明しなければなりません。
親に自分と子供は違う人間なんだと気付かせるためです。
親子間の投影というのは誰しも少なからず発生します。
愛情が強く、子供を大事に思っていれば、自分の理想通りに育って欲しいと思うのが親心です。
このケースだと、娘さんはずっと言えずにいたんですね。
少しでも、自分と母の違いをぶつける事が出来ればここまでにはなっていなかったと思います。
ですが、それが出来ないぐらいの母思いで優しい性格だったのでしょう。
きっと、母親が自分にしてくれていることが愛情であり、優しさでもあると感じている部分があったのでは思います。
その娘さんは短大卒業後も働きながら夢を目指して頑張っていたそうですが、母親の呪縛はなくなる事はなかったそうです。
落ち込みがひどくうつ病と診断された事もあるそうです。
その後、勇気を持って親と離れて暮らすことにしたのですが、その後は落ち着いたそうです。

毒親の問題点は、毒親が毒になっていると気が付かず、理解もしようとしないことです。
子供のためと思っていても、必ず子供の為になっているとは限りません。
また、自分の理想が子供の理想だということを疑う事が無いので、子供のやりたい事に耳を貸さない傾向があります。
自ずと子供は自分で決められない自我の無い大人になってしまいます。
親はそれを望んでいるのでしょうか?
そうではないはずです。子供に幸せになって欲しいはずです。
また、子供は親に対して自己同一化が強くならないようにしなければなりません。
自己同一化とは相手のことを自分のことのように思うことです。
親との自己同一化が大きいと、相手を傷つけるのではないかと感じ、言いたい事がいえなくなってしまいます。
それが我慢となって自分を抑圧し続けていると心が苦しくなっていきます。

親子の関係はいつかどこかで親離れをしなくてはなりません。
子供を一人の人間としてみる事が毒親にならない為には必要です。
また、自己同一化が強い親は、自分の満足感が不足している場合が多くあります。
認められる事が少なかったり、責任感が強すぎる場合は一般的には普通でも満足しません。
その満足感を埋めるかのように子供に投影をするという仕組みです。
まずは母親が自分を大切にし、自分の満足感を味わえるような事をする心がけが大切だと思います。

また、毒親に限らず、育った家庭環境から受ける影響は大人になっても抜けないことが多くあります。
その様な家庭のことを機能不全家族と言うのですが、それが原因で精神疾患や希死念慮になる事もあります。
参考:機能不全家族チェック
今回の様なお話しに限ったことではなく、多くの苦しんでいる子供がいると言う事は忘れたくないと思います。

機能不全家族とは?

機能不全家族という言葉があります。
育った家庭が一般的に考えて家族としての機能を果たせていない家族の事を言います。
機能不全家族で成長した場合、精神的・性格的に歪みが生じ、生き辛さを抱えやすいという問題が起こります。

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具体的に機能不全家族とは、
  1. 愛情が無い、又は希薄
  2. 育児放棄
  3. 親の不在(親の役割を果たす人の不在)
  4. 暴言、虐待、いじめが有る
  5. 過保護・過干渉
  6. 常軌からずれた仕来りやルールなどがある
等があります。
特に、虐待が有る家庭では、心に大きな傷となり大人になっても精神的な歪みになる事が多くあります。

家族というのは子供にとって見れば選ぶ事の出来ないものです。
また、家族というセーフティエリアであるものが、ストレスになってしまうという事は子供にとって辛い事です。
子供とは無償で安全を確保されるべき立場です。
それが行われない子供は、心理的に不安定になってしまいます。
いつもオドオドしたり、過剰に従順だったりと小さな力で自分を守ろうとするのですが、それが大人になってもそのまま残ってしまうと、自分で生きていかなければならなくなった時に障害となります。
機能不全家族で育った事は、今更変える事はできません。
ですが、今の自分を変える事はできますので、前向きに自分と向き合って欲しいと私は思います。

また、機能不全家族で育った事を本人が理解できていないというケースがよく見られます。
これは、機能不全家族であってもそれが普通と思って育っていると、自分の家庭が正しいという基準になってしまいます。
むしろ、うちとは違う家庭は以上だ!と思ってしまう事もあります。
もちろん、それが悪い事ではありません。
価値観といってしまえばそこまでのことです。
それぞれの家庭の事情があるので自分の家が基準となるのは致し方ないことです。
但し、自分の悩みが機能不全家族が原因だという事実を受け入れたくないが為の回避で、自分の家が基準になっている人は、他者との間に問題が起こるでしょう。
かたくなに自分が正しいという事を言うのは、今の自分の可能性を放棄してしまうようなものです。
様々な家庭があって、それぞれに良いところも悪い所もあるのだという事実を受け入れることが大切です。


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プロフィール

佐屋鉄心

心理カウンセラーの佐屋鉄心です。
普段は某カウンセリングルームで認知行動療法の心理カウンセラーをしております。
様々な悩み解決のヒントとなれるような執筆活動をしています。