相談者の中には「話しを聞いてもらいたいだけ」という方もいらっしゃいます。

本来、認知行動療法は自分と向き合い根本的な認知を修正する事で悩みを解決していきます。

なので、話しを聞いているだけでは認知行動療法にはなりません。

ですが、話すだけの効果は実はかなり大きいんです。

カウンセリングの技法で「傾聴」というものがあります。

話しを聞き、その情景や感情を理解する事に努めます。言葉にはならないものも読み取ります。

このときカウンセラーの感情は一切入りません。

相手を理解するという事が大切な技法です。

では、話しを聞いただけでどうなるかというと、相手は「自分を理解してくれている」と感じます。

ぶっきらぼうな言い方ですが、カウンセラーは話を聞いているだけで信頼されるという事象が起こるんです。

なんかずるしてるみたいですが、とても大切なことです。

悩みを持っている人は、なかなか本質まで話さなかったり、自分の良いように話しをしたりします。

なので、信頼関係の構築は必須の作業になります。

話しの本質や客観視、深い真実までを読み取る作業は大切で、しかもそこまで理解できれば更に相談者は信頼を寄せてくれます。

傾聴は信頼関係構築の第一歩といったところでしょうか。

前置きが長くなりましたが、本題に入ろうかと思います。

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タイトルの通り、話しを聞いて欲しいだけの人と、話すだけでは無駄という方がいらっしゃいます。

特に男女の会話に多くみられるのですが、彼女は愚痴を言いたいだけなのに彼は問題の解決策を話そうとする。

そうすると彼女は自分が否定されているように感じ、彼は解決策を出さないのは無駄だと感じます。

良くある話しですね。

このような現象はなぜ起こるのでしょうか。

それは、「対処方法の差」なんです。

マイナスな感情が出たときに、その感情を和らげることによる対処が「話しをする」という方法で、聞いて欲しい人です。

相手からの理解を得て自分は間違っていないんだと無意識的に感じることによってマイナスの感情を和らげます。

一方、マイナスな感情が出たときに、事象に対峙して繰り返さないようにするという方法をとるのが解決策を出すという方法です。

解決策を出す事で、将来への不安を取り除き、今のマイナスな感情と相殺します。

どちらも、マイナスな感情への対処であってどちらも正しいことです。

(一番いけないのはマイナスな感情を放置することです)

なので、その対処方法のどちらが正しいかというのは、誰にも言えないことなんです。

上記の男女の会話だと、お互いにそれを理解していないと考えの相違で終わってしまいます。

では、どのような会話の運びをすればいいかというと、話しを聞いて欲しい人は、話した最後に「あなたならどうする?」と聞いてみてください。

そうすると、相手は自分なりの解決策を提示します。

彼女はそれを参考程度に聞いておくとお互いに納得のいく会話になります。

また彼のほうは、聞くことによって相手は楽になるのだという事を理解して聞く姿勢を持つ事が大切です。

ですがこれがなかなか難しいんですが、一つコツがあります。

「自分だったらこうする!」という考えをひとまず横においておく方法です。

解決策を出したい人というのは、自分だったらこうして解決する。そうじゃないのは自分とは違う方法だから良くない。っと無意識的に考えてしまいます。

これが相手にとっては否定的に聞こえたりするんですね。

なので、話しを聞いている時は、相手がなぜそう感じたのか?相手がなぜそうしたのかを考えて推理しながら話しを聞くことが大切です。

話しの謎解きをするようなイメージでしょうか。

それによって自分は話を深く理解できるし、相手は理解してくれていると感じます。

お互いに相手を気遣う事が良いコミュニケーションになるのではないでしょうか。