認知行動療法では自動思考の根拠に対して「反証」という作業を行います。
これは、その時見えているもの意外のものを見えるようにする作業で、とても大事な作業です。
簡単に例を挙げてみて見ましょう。
エピソード
→町で知らない人に声をかけられた
感情
→びっくり、不安
自動思考
→危害を加えられるかも
なにを言われるかわからない、自分で対応できないかも
自動思考の根拠
→知らない人に声をかけられてもついていってはいけない
何か聞かれても上手く返せたためしが無い
このようなエピソードがあったとしましょう。
認知行動療法では、これに加え身体症状やその時の行動も上げていきますがここでは割愛します。
今日注目するのは「自動思考の根拠」の部分です。
これは、先入観とも言うべきものですが、これを決定づけられない証明をしていきます。
それが反証です。
ここでのポイントですが、自動思考の根拠を「否定」する訳ではないということです。
自動思考の根拠が証明出来ないことを証明するというのが反証です。
ちょっとややっこしいですが、裁判でいうとアリバイを崩すような事と考えてください。
ここでは、
「知らない人に声をかけられてもついていってはいけない」
は
「知らない人についていってはいけないと教えられたが、子供の頃の話で声をかけてくる人がみんな悪い人だとは限らない」
「なにを言われるかわからない、自分で対応できないかも」
は
「道を聞きたいだけかも知れない。自分が知っていることを聞かれるだけかも知れない」
というのが反証です。
自動思考の根拠が絶対に正しいとはいえないということを言っています。
これがもし否定をすると
「知らない人に声をかけられてもついていってはいけない」
は
「知らない人に声をかけられてもついていっていい」
「なにを言われるかわからない、自分で対応できないかも」
は
「何を言われても自分なら答えられる」
という具合によくわからないことになってしまいます。
このケースだと否定しているのが分かりやすいですが、認知行動療法をやっていると否定で終わらせようとする方が多くいらっしゃいます。
否定は何の解決にもなりません。
否定自体が歪んだスキーマであるからです。
反証とは、『絶対に正しいという証明を覆す証明』だという事を考えながら行うことが大切です。