心を軽くする方法~認知行動療法のblog

心理学で心を軽くする方法。心理学で心をひも解き、相手も自分も理解しあう事が出来る。【心理研究家】佐屋鉄心

コラム

自己否定を止めると自己肯定感が生まれる訳ではありません。

001自己否定が強く、何でも自分を責めてしまうという人がいます。
自己否定からその部分を正し、成長に繋げていける人はいいのですが、へんこんで終了っという人も少なくありません。
自己否定の良くない部分は「自分を傷つける」というところです。
自分が傷つくという事は、気持ちがマイナスになるきっかけになってしまいます。
そして、やる気がなくなり回避の選択をする。
更にそんな情けない自分を自己否定するという悪循環になってしまいます。
自己否定は度が過ぎると自分では止められない負のスパイラルを生んでしまいます。

自己否定に関して、自己否定を止めればいいという訳ではありません。
先ほども書いたように、自己否定から自分の成長を促す事もあるからです。
自己否定で悩んでいる方は、まず自己否定を止めようとします。
ですが、これがなかなかできることではありません。
なぜなら、自分の中に自分を否定する理由があるからです。
『自分はこうあるべきだ』
『こんな事もできないのはありえない』
『これでは他人に認められない』

というような、自己決め付けがあるはずです。
このような発想を持っていない人は、ありのままの自分がそのままの自分だと考えるようになるので自己否定をしません。
もちろん人それぞれ理想は持っています。
『理想通りではない自分は自分ではない』とは考えず『理想を成す為の今の自分』と捉える事が自己否定を止めるということです。

また、自己否定を止めると自己肯定感が生まれるというわけでもありません。
ありのままの自分を受け入れて、自己否定感がなくなっても、その自分は理想の自分という訳ではないからです。
理想の自分になれた時に、初めて自己肯定感が生まれてきます。
そのためには、行動や努力をして理想の自分に近づけていく事が大切です。

自己否定をただ止めるだけだったり、無理に自己肯定感を持とうとするのは自分の中で矛盾が生じてしまいます。
その矛盾がストレスになってしまう事もあります。
まずは、自己否定をする自分的な理由を考えてみる事が大切だと思います。

大人のいじめ

大人のいじめ

大人になってもいじめは存在します。
いじめの問題を考えたり解決する前に、まずはいじめる人の心理を考えてみると、その後がスムーズになると思い、その特徴を見ていこうかと思います。

いじめる人の心理

○相手を下げようとする
自分が劣っていると感じると、相手を下げようとする事があります。
これは、自分の能力を相手と比べた時の劣等感をなくそうとする行動です。
誰でも自分が優位に立ちたいと思うものです。
ですが、自分を上げるのではなく相手を下げるというのはいじめに発展します。

○嫉妬や恨み
自分に対して不利益を与える存在を排除しようとする事は必要です。
ですが、一人よがりな感情で相手を傷つける事はいじめになる可能性があります。
嫉妬や恨みは自分の感情が傷ついた時に起こります。
ですが、相手にも事情があります。嫉妬や恨みを買おうとしていた訳ではないのかもしれないのに、感情で決め付けた行動を取る事は自分勝手になってしまう事があります。

○不快感
不快感には感情的不快感と五感的不快感があります。
感情的なものは嫉妬や恨みもそうですが、自分の気持ちが傷つけられているという事です。
五感的なものは、聴覚・嗅覚・視覚が主な不快感を感じる部分です。
その不快感の排除を相手に向ける事で、いじめになってしまう事があります。
不快感を持ったからと言って相手を不快にしても良いというものではありません。

このような心理背景があります。
いじめをする人の根本には一定の傾向があります。
それは、不安感が強いという部分です。
上記の心理背景は全て不安を排除しようとしています。
人は不安を感じると排除か回避をします。
その方法に問題があるといじめに発展します。
正しいやり方は『相手のせいにするのではなく、自分の弱さを受け入れ弱さを乗り越える』という方法です。
最初から強い人間はいません。
ダメな部分を向上させていく事によって強くなっていくのです。
いじめをしない人は、自分で弱さに打ち勝った人ではないでしょうか。
弱い事は悪い事ではありません。その対処方法が間違っているといじめに発展するという事です。

このように、いじめる側の心理を知っていると、いじめられた側の対応も変わってくると思います。
いじめの問題は100個あれば100個の対処法が必要です。
全てに正確な答えを出すと言う事は難しい事です。
なので、最初にそこまで至った心理背景を整理しておく事によって、より解決に向かっていけると思います。
悩んでいる方に考えるヒントとなればと思います。

アダルトチルドレンをカウンセリングで治す

アダルトチルドレンをカウンセリングで治す

アダルトチルドレンという言葉があります。
機能不全家族で育ち、子供の頃に備わった認知の歪みが原因で大人になっても生き辛さを抱えている人達のことを言います。
機能不全家族とは?

機能不全家族で育つと、考え方に歪みが生じ社会的な適応が難しいという傾向を持つ大人になってしまいます。
そのような背景を持つ大人のことを総称してアダルトチルドレン(AC)と言います。
引用:アダルトチルドレンタイプチェック

具体的には、
  • ネガティブ思考
  • 人間関係が苦手
  • 極度の緊張や不安
  • 依存
  • 自立心の未発達
  • 献身的自己犠牲
  • 想像の飛躍
等の傾向や症状が特徴です。
何故、機能不全家族で育った場合にアダルトチルドレンになるのかというと、成長期に身に付く思考や考え方は家庭環境の影響を大きく受けます。
それが、極端な環境や親の考え方だと子供もその影響を受け、まねをしたり反発をしたりします。
それが認知の歪みとなって成長するからです。
機能不全家族内の人もアダルトチルドレンの可能性が高いのが傾向としてあります。
アダルトチルドレンが連鎖するということがよく言われますが、アダルトチルドレンが家庭を持つと機能不全家族になりやすいからでしょう。

アダルトチルドレンを治すにはカウンセリングが有効です。
特に認知行動療法は認知の歪みに対して、無意識的に行っている思考や判断を修正します。
これはアダルトチルドレンがもっている特徴を改善することに直結しています。
アダルトチルドレンの克服で、家族に対しての考え方や捉え方を変えるようなカウンセリングを行う事もありますが生産的ではありません。
なぜなら、家族に対しての感覚が改善しても現状の認知の歪みは根本的には改善しないからです。
アダルトチルドレンのカウンセリング行うなら、今の認知の歪みを修正する事が大切です。
そして、それが改善すれば機能不全家族への感覚も変わっていきます。
過去の機能不全家族で育ったという事実は変える事が出来ませんが、今の自分が変われば機能不全家族で育ったことが問題とはなりません。
機能不全家族が問題ではなく、今の自分の中に問題があると認識する事が大切と言う事です。

アダルトチルドレンを治す認知行動療法としては、認知の歪みが何なのかを浮き彫りにすることから始めます。
認知の歪みには色々なものがありますが、極端になっているものが悩みの原因になることがあります。
  1. 全か無かの思考 
  2. ~すべき思考 
  3. 行き過ぎた一般化 
  4. 心のフィルター 
  5. マイナス思考 
  6. 論理の飛躍 
  7. 拡大解釈、過小解釈 
  8. 感情の理由づけ 
  9. レッテル貼り 
  10. 誤った自己責任化(個人化)
このような認知の歪みがあることを自分に認知し、それを変化させていくことでアダルトチルドレンを治していきます。
そのためには、日々の出来事の中で意図的に認知を意識する必要があり、変化には時間がかかります。
ですが、アダルトチルドレンはそのトレーニングが大切です。
一人で行う事は難しいかもしれませんが、カウンセリングで補助を受けることが近道だと思います。

【認知行動療法のコツ】何故?を繰り返す事

-【認知行動療法のコツ】何故?を繰り返す事

認知行動療法は自動思考とスキーマを適切なものに変えていくという方法を取ります。
どちらも無意識的な部分で、作業の中で発見をしていくものです。
この時、なかなか自分の自動思考とスキーマに気付けないことがあります。
深く考えていく作業が必要ですが、一人で認知行動療法を行う場合はこれが難しい場合もあります。
上手く認知行動療法行う為には「何故?」を繰り返すことが大切です。
例えば、仕事で失敗をしたという事象があるとしましょう。
感情→憂うつ
行動→やる気が出ないがフォローしようと作業に付いた。

このような状況です。
ここで陥りやすいのは「何故失敗したのだろう?」というところに注目するケースです。
もちろん失敗に対して反省をする事は必要ですが、悩みを持つ方は事象を極端に考えて、自分のせいにしたり誰かのせいにしようとします。
出来事の結果を考えても、その結果自体は変わりません。
認知行動療法でも結果の原因を追究するよりも、感情や行動の部分に着目します。
結果を変えるには過去に戻ってやり直すしかありませんが難しいことです。
それよりも今の感情を大切にします。
何故、憂うつになったのか?
この部分が大切です。

感情が出る時には自動思考が働いています。
憂うつに関しては、自動思考が『成功すると思っていたのに失敗した』と感じていたとしましょう。(他にも人によって違いはあります。)
成功すると思っていたのは何故でしょう?
自分では頑張ったと思っているからだとしましょう。
自分では頑張ったのに憂うつになったのは何故でしょう?
頑張れば成功する、自分は成功して当たり前と思っているとしましょう。
これがスキーマです。
このように自分が感じた感情がどのようなルールで導き出されているのかを考えるのが認知行動療法です。
そして、導き出す時に使うのが「それは何故?」という問いなのですが、ここの注目点が難しいものです。
「成功すると思ったのに失敗したのは何故でしょう?」
ならないようにしなければなりません。
これは、事象に対する考えを導くだけで、感情に注目が行っていません。
あくまでも「憂うつ」の部分に注目しなければなりません。
一人で考えていると注目点がずれてしまう事があります。
何故?を繰り返す時は、どこに注目するのかに気を配る必要があります。

認知行動療法は自分の考えのルーツを知り、それを変容させるために行います。
感情を置き去りにしないように気をつけましょう。





認知の歪みの共通点

認知の歪みの共通点

認知の歪みには様々なパターンがあります。
認知行動療法での認知の歪みの例はこちらの記事→認知行動療法とは
どのような認知の歪みでも共通している事があります。
それは、自分の価値観を最優先で当てはめるという部分です。
本来、価値観というのは人それぞれが持っているものです。
好きな食べ物が違ったり、反応の差があったりと様々なところで見られます。
これは、気質や育ってきた環境が違うのですから当たり前の話しです。
但し、認知で問題になるのは、自分の価値観だけ、または自分の価値観を優先して物事を考えている部分です。
自分を守るためにそうする人が多いのですが、そればかりでは争いだらけになってしまいます。

例えば、たまに見かけるパクチー論争。
「パクチーなんて食べてる人の気が知れない」と言う人もいれば「パクチーを食べられないなんて人生を損してる」と言う人もいます。
好みがはっきり分かれるものに対しての価値観というものは主張したくなるものです。
承認欲求や自己顕示欲がそうさせるのかもしれません。
ただ、パクチー程度ならかわいいものですが、これが性別や宗教、国となってくると大変な事になっていきます。

大事なのは、お互いの意見を尊重するという事ではないでしょうか。
パクチーが食べられない人に勧めるのではなく、パクチーが好きな人を否定するのでもなく、両方が正しいという前提で尊重するという事です。
それぞれの認知の歪みに対してこれは言えるものです。
価値観を押し付けないように気をつけると認知の歪みも変わっていくものではないでしょうか。
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プロフィール

佐屋鉄心

心理カウンセラーの佐屋鉄心です。
普段は某カウンセリングルームで認知行動療法の心理カウンセラーをしております。
様々な悩み解決のヒントとなれるような執筆活動をしています。