認知行動療法では、出来事と感情に対してそのプロセスを細かく分析するという作業を行います。

切り分けや分析をすることで、自分のスキーマを把握し、感情を変える手がかりとします。

では、例を用いて分析の過程を紹介します。

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●出来事
友人に電話したが素っ気無い感じで用件だけを伝えることしか出来なかった。

●気持ち
悲しい

という状況と感情があったとしましょう。

まずは、感情が出てくるときには自動思考があります。思い浮かんだ考えやイメージです。

この場合は、悲しいと感じる前に「嫌われた」などのように捉えています。

では、なぜ嫌われたと思ったかというと、「素っ気無い」=「嫌われた」というスキーマがあります。

これは、その人の経験の中で素っ気無い人は自分に興味がなく、むしろ嫌っているというロジックがあることによって生まれます。

では、これを改善するためにもう少し深く考えていきます。

まずは、事実に沿っていることと、予測や想像していることを切り分けます。

事実
→素っ気無いと捉えた自分
→悲しいと思った自分

予測や想像
→素っ気無い相手
→嫌われている

これを時系列にすると
 予:素っ気無い相手
→事:素っ気無いと捉えた自分
→予:嫌われている
→事:悲しいと思った自分

となります。

相手が素っ気無いと感じた自分は紛れもない事実ですが、相手が素っ気無くしたかどうかはこちらからはわかりません。

丁寧な対応をしなければいけない状況で、それが素っ気無い感じになったかもしれません。

ここで難しいことが、「自分が捉えたことが真実かどうか」疑ってみる事です。

そしてほとんどの場合、考えても真実はわからないという答えになります。

ですがそれでいいのです。決めつけで感情が捉われてしまうのではなく、「かもしれない」としておくことが大切で、実はこれが真実です。

相手がどのような状況なのか、相手がどのような感情だったのかがわからないのですから、「かもしれない」が正しい答えです。

そして、その事実から「嫌われている」ではなく「嫌われているかも、そうじゃないかも」が予測となります。

よって「素っ気無い」=「嫌われた」というスキーマは全てに当てはまる訳ではないということがわかります。

素っ気無いからといって悲しいと感じるのは自分のロジックがそうなっているだけだったのです。

本当に嫌われているなら悲しいですが、そもそも嫌われているというのが事実かどうかがわからないのですから悲しくなる事はないのです。

●出来事
友人に電話したが素っ気無い感じで用件だけを伝えることしか出来なかった。

●気持ち
悲しい

の中には、これだけの考えや予測があり、それを無意識に行っています。

認知行動療法では、プロセスを分解・分析することによって感情を変えることが可能です。

皆さんも、出来事と感情からそれを紐解く作業を行ってみてください。