心を軽くする方法~認知行動療法のblog

心理学で心を軽くする方法。心理学で心をひも解き、相手も自分も理解しあう事が出来る。【心理研究家】佐屋鉄心

2017年03月

相手の考え方が間違っていると思うこと

「その考えは間違っている」といいたくなる時ってありますよね。
でも、それは相手を否定していることであり、時には相手を傷つける事もあります。
本来は相手を傷つけたくないという思考がはたらいて、思っていても言わないという人も多いでしょう。
ですが、親密な関係の人にはどうしても言ってしまうという事もあると思います。
では、この事象を少し掘り下げて考えてみましょう。

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 相手の考えが間違っているという事は、自分の考えが正しいと思っているということです。
自分の考えが一般論で多数派の考えでそうなる場合もありますが、それもその人の中で正しいと思われている物です。
そして、相手に対して間違っていると感じ、それを相手に言うという事は、自分にとって何らかのデメリットがある場合です。
実質的なリスクがある場合もありますが、間接的に「相手の考えが自分とは違い、自分の考えが否定されているように感じる」というケースもあります。
この場合は、感情が傷つくというデメリットがあります。
それによって、相手の考えを正そうとしたり否定したりしてしまいます。
では、何故相手の考えが自分と違うと否定感を覚えてしまうのでしょうか。
否定感の根源には承認欲求が満たされず傷つく感情があります。
承認欲求は相手に認められ受け入れられたいと思うことです。
相手と考えが違うという事は承認欲求にそぐわないという事ですので、自分の考えが正しいという主張をして、認めさせようとします。 
本来、相手と違う事は否定をされている訳ではありません。
ですが、自尊心が低かったり、圧力的に言われた時は否定感を感じてしまいます。
その承認欲求を満たさない否定感で自分が傷つき、そのマイナスな感情を相手に返そうとします。
これが相手の考えが自分と違う時に起こる感情の流れです。

ここで大切なのは、「相手の考えが自分と違うというのは自分の考えを否定している訳ではない」ということに気が付く事です。
100人いれば100通りの考え方があります。
一般論的に多数派だとしても、誰にとっても正しい考えというものはありません。

それぞれがその人の中で正しい考え方です。 
誰もそれを否定する事はできません。
だから、そもそも相手と違うということで自分が傷つく必要はないんです。
「そういう考え方もあるんだなぁ」と受け取り、必要ならば自分の考えも伝えるというのが良い方法だと思います。
伝える時も、否定的に聞こえないように「自分はこういう考えなんだけど君のような考え方もあるんだなぁ」などのように押し付けにならないようにしましょう。
自分の考えを相手がどう感じ、どう変わるかは相手次第です。
自分の考えが自分にとって正しい考えで、相手にとっては違うのかもしれないという定義を忘れてはいけません。
それと自分の考えに自信と柔軟性を持つ事も大切です。
考え抜いて自分が納得できる理由があり、他の考え方に触れたときに変えていく事もできる考え方を身につけましょう。
考え抜けば自分の考えに自信がもてますし、柔軟性があればそれは自分にとって成長ということでもあるからです。

相手の考えを間違っていると言う前に、もう一度相手の考えと自分の考えを評価しなおしてみましょう。
また違う一面が現れてお互いにいい考えに行き着くかもしれません。

情動と感情

情動と感情は似ているようで違うものと扱われる事がほとんどです。
分野によって解釈や意味は違いますが、情動は「表層的な身体の変化を伴なうような強いもの」で、感情は「喜怒哀楽のような理性に対してのもの」というものが多い解釈です。
また、感情の一部が情動であるという考え方もあります。
簡単に言うと、情動は本能的に感じるもので無意識的、感情は思考を伴なって感じる意識的なものと私は考えています。
これらを踏まえて、普段起こっている快・不快に関して考えてみましょう。

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 例えば、「高いところに行くと足がすくむ」というのは情動が不快を感じることによって、身体的な反応を伴なっています。
その後、「高いところは怖いので早く降りたい」という感情が出ます。 
また、 「昨日、上司に怒られたので今日は仕事に行きたくないなぁ」と感じるのは、「また何か言われたら嫌だな」「上司に申し訳なくて顔を見たくないな」「怒られて恥ずかしい姿を晒したので行きずらい」などの認知と思考を解して感じている感情です。
ですが、「上司に怒られた時に赤面し怒りを感じた」というのは、情動がおこした事象です。

ここで、なにが言いたいのかというと、情動がおこしたものは変えにくいが、感情がおこした事象は認知の違いで変わるということです。
高いところに行って足がすくむのは、そう簡単には変えられません。
理性が届かない部分だからです。ですが、何度も高いところに行っているうちに足がすくまなくなる事はあります。脳が慣れるからです。
一方、感情の方はいったん認知と思考を挟んでいます。
上司に怒られた瞬間の怒りはすぐに変えられないかもしれませんが、次の日の仕事に行きたくない感情は変えられます。
上司や同僚はなにも気にしていないかもしれません。
自分の不安予測から想像した未来に感情が捉われているだけです。
違う見方をしてみると、いきたくないという感情はその場で変える事が出来ます。

皆さんは、自分の気持ちがどっちの原因で起こっているのかを考えてみてください。
意外と感情側のもので、認知を変える事によって改善できるかもしれません。 
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プロフィール

佐屋鉄心

心理カウンセラーの佐屋鉄心です。
普段は某カウンセリングルームで認知行動療法の心理カウンセラーをしております。
様々な悩み解決のヒントとなれるような執筆活動をしています。